PAGE TOP
木造施設をビジネスに活かす│MOKUSTRY » 店舗・事務所として活用する木造施設 » 飲食店を木造で建てる際の注意点
重飲食の厨房設備と排気・防臭対策

飲食店を木造で建てる際の注意点
重飲食の厨房設備と排気・防臭対策

※このサイトは株式会社アールシーコアをスポンサーとして、Zenken株式会社が運営しています。

焼肉店やラーメン店のように火と油を多く使う「重飲食店」も、木造で建てることはできます。木の温もりがある客席は居心地がよく、店の個性として記憶に残りやすいのが強みです。一方で、重飲食店の厨房には火・重さ・水・煙という4つの負荷が集中し、いずれも木造が苦手とする領域と重なります。弱点がはっきりしている分、設計段階で先回りして手を打てば、木の魅力と重飲食の営業は両立が可能です。本記事では、木造で重飲食店を建てる際の注意点を、法令の基準とあわせて順に整理します。

木造でも重飲食店は建てられる。前提は計画段階の準備

木造だからといって、重飲食店の出店を一律に禁じる法律はありません。

「重飲食店」は不動産業界や飲食業界で使われる呼び方で、一般に、調理で火や油を多く使い、煙・臭い・蒸気が大量に出る飲食店を指します。焼肉店・中華料理店・ラーメン店が代表例です。カフェのように軽食が中心の「軽飲食店」と比べると、火災への備えに加えて、油や煙が壁・天井に染みつくといった環境面の対策も欠かせません。

そのため木造で重飲食店を建てるなら、厨房機器や排気の計画を設計の初期段階から固めておく必要があります。

注意点1:厨房は「燃えにくさ」が前提。木を見せるのは客席で

木材はコンクリートや鉄に比べて燃えやすい素材です。そのため木造店舗では、建物の規模・階数・立地に応じて、建築基準法・消防法・火災予防条例が定める防火の基準を満たさなければなりません。重飲食店で特に押さえたいのは、厨房まわりにかかわる次の3つの規制です。

規制根拠重飲食店で求められること
火気使用室の内装制限建築基準法第35条の2、同法施行令第128条の4・第128条の5厨房の壁・天井を準不燃材料以上で仕上げる
消火器具の設置消防法施行令第10条火を使う調理設備があれば、延べ面積にかかわらず設置する
厨房設備の位置・構造市町村の火災予防条例可燃物との離隔距離や排気ダクト、自動消火装置などを自治体ごとに規定

建設地が防火地域・準防火地域にあたる場合は、厨房に限らず建物全体の構造にも制限がかかります。立地による制限は、防火地域・準防火地域で木造店舗を建てるための注意点もあわせてご確認ください。

火気使用室の内装制限

主要構造部を耐火構造としていない店舗で、こんろなど火を使う設備を置いた厨房は、壁と天井の仕上げを準不燃材料以上にしなければなりません。木造の重飲食店の多くが、この規制の対象です。なお、木の内装を一部認める緩和の告示(平成21年国土交通省告示第225号)もありますが、対象は一戸建て住宅に限られ、店舗には使えません。

木の魅力は客席で見せ、厨房は燃えにくい素材で固める。この「ゾーニング」を前提にプランを組むと、内装の自由度と法適合を両立しやすくなります。

参照元:e-GOV法令検索「建築基準法施行令」(https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000338)

参照元:国土交通省「準不燃材料でした内装の仕上げに準ずる仕上げを定める告示」(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk_000020.html)

消防法・火災予防条例

平成28年12月の糸魚川市大規模火災を受けて消防法施行令が改正され、令和元年10月から、火を使う設備や器具を設けた飲食店には、延べ面積にかかわらず消火器の設置が義務づけられました。改正前は延べ面積150㎡以上の店舗が対象だったため、小規模な店舗ほど影響の大きい改正です。ただし、調理油過熱防止装置や自動消火装置など、防火上有効な措置を講じた設備は、この義務の対象から外れます。

厨房設備と可燃物との離隔距離や、一定の条件を満たす厨房設備への自動消火装置の設置などは、市町村の火災予防条例が定めるルールです。内容は自治体ごとに異なるため、企画・設計の段階から所轄の消防署と協議しながらプランを詰めてください。

参照元:総務省「消防法施行令の一部を改正する政令(案)等に対する意見公募の結果及び改正政令等の公布」(https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01shoubo01_02000044.html)

注意点2:厨房の床は「重さ」と「水」から守る

重飲食店の厨房には、業務用冷蔵庫や大型の調理台など重量のある設備が集まります。加えて、洗い場では毎日大量の水を使うため、木造の床にとっては負荷の大きい環境です。床の設計で重さと水の両方を受け止められるかどうかが、木造の厨房づくりを左右します。

荷重への配慮

中華料理店やラーメン店では、スープ用の寸胴鍋や製麺機など、特に重い設備を使うこともあります。導入する機器とそれぞれの重量を設計段階で洗い出し、配置図に落とし込んだうえで、必要な箇所の床を補強してください。1階の厨房であれば、床を土間コンクリートにして荷重と水の両方に備える方法もあります。開業後に機器を増やす可能性があるなら、その分の余裕も見込んでおくと安心です。

水まわりと防水

木材は水分や湿気を含むと、カビや腐朽が起こりやすくなります。漏水が続けばシロアリを呼び込むおそれもあるため、構造材の傷みが見えない場所で進む点にも注意が必要です。

洗い場まわりは床と立ち上がりの防水を確実に施し、水が溜まらないよう排水勾配を取ってください。排水から油脂や残さを分離する「グリストラップ」は、こまめな清掃が欠かせない設備です。清掃しやすい位置に配置しておけば、悪臭や詰まりのトラブルも防げます。

注意点3:排気と給気はセットで計画する

木材は表面に細かな孔や凹凸が多く、臭いや煙の成分が付着しやすい素材です。換気が不足すると、焼肉の煙や油の臭いが客席の壁や天井に染みつき、木の内装の魅力を損ないます。排気フードや排気ダクトの能力は、使用する調理機器の熱量や煙の量から逆算して決めてください。

もう一つ見落としやすいのが、外から空気を取り込む給気の計画です。排気ばかり強くして空気の入口が足りないと、店内の気圧が外より低い「陰圧」の状態になります。陰圧になると排気の効率が落ちて臭いや煙が店内に残り、扉が重くて開けにくくなるといった不具合も生じかねません。排気量に見合った給気口や給気ファンを、排気計画と同時に設計してください。

注意点4:臭いと煙の苦情は開店前に防ぐ

臭いと煙への配慮は、木造に限らず重飲食店に共通する課題です。近隣住民とのトラブルは、苦情対応の手間だけでなく、店の評判や口コミの悪化にもつながります。

対策の基本は、排気口の位置と向きです。住宅の窓や隣家の換気口に向けない配置にするだけでも、苦情のリスクは下がります。そのうえで、電気集塵機・活性炭フィルター・オゾン脱臭装置といった脱臭・除煙装置を、業態や排気量に合わせて選びましょう。開店後の後付けは工事費がかさみやすいため、設計段階で設置スペースとダクト経路を確保しておくのが得策です。

まとめ

木造の重飲食店は、「客席では木を見せ、厨房は燃えにくく、重さと水に強くつくる」というゾーニングで成り立ちます。法令の基準は、あくまで建てるための最低ラインです。排気と給気のバランスや臭いへの配慮まで設計に織り込んでこそ、木の空間を長く心地よく保てます。厨房機器の一覧と配置を早めに固め、所轄の消防署との協議を設計の初期に始める。この順番が、木の居心地と重飲食の営業を両立させます。

建築費の目安を知りたい方は、木造店舗の建築費用相場と賢いコスト戦略をご覧ください。

メディア監修sponsored byBESS
(株式会社アールシーコア)
メディア監修:株式会社アールシーコア(BESS)
木造施設の建設をBESSで

BESSは、長年培ってきた“ほかにはない”技術とデザインで、木のクセや個性をそのまま活かし、暮らしを“遊ぶ”ための圧倒的な個性ある空間を創出します。ログハウスなどの木造建築に加え、アプローチやデッキといったランドスケープまで一体で設計し、建物単体にとどまらない世界観を実現しています。

当メディアについて

当メディアは、Zenken株式会社が、「木のある暮らし」を提案し続けてきた株式会社アールシーコア(BESS)協力のもと制作しています。空間設計から始まる価値づくりを、木の建築という選択肢から紐解いていきます。