木造施設の建築費用
木造施設の建築費用は
高い?安い?
木造施設の建築費用は、建物の種類、構造、規模、使用する木材の種類、地域などによって大きく異なります。費用の内訳は、一般的に以下のとおりです。
- 本体工事費
- 付帯工事費
- 諸経費
本体工事費とは、建物本体の工事にかかる費用のこと。構造部分の工事や内装工事、設備工事、足場代などが含まれます。附帯工事費は、外構工事や地盤改良工事など、建物本体以外の工事費用のこと。諸経費には工事以外の設計費用や確認申請費用などが含まれます。
これらを合わせた建築費用の相場は、一坪あたり50万円~100万円程度です。ただしこれはあくまで目安。より正確な費用を把握したい場合は、複数の業者に見積もりを依頼するのがおすすめです。
木造 vs 鉄骨・RC、
費用の比較
ここでは、木造と鉄骨造、RC造それぞれの工法について、初期費用や工期、維持費用を比較します。施設の建築を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
初期費用はどれが安い?
アパートと介護施設、ホテル、それぞれ3つの構造の中で、特に費用が安いのが木造です。軽量鉄骨造は工場で作られた材料を現場で組み立てるため、鉄筋コンクリート造よりも建築費用を抑えることが可能。鉄筋コンクリート造は費用はかかりますが、耐震性や耐久性に優れているため、大規模施設や高層ホテルなどで多く採用されています。
工期が短いのはどの構造?
工期は建物の種類やデザイン、立地条件や天候などによって異なるため一概には言えません。このため、2階建てアパートの場合として工期をご紹介します。
- 木造:約4ヶ月〜6ヶ月
- 鉄骨造:約5ヶ月〜8ヶ月
- 鉄筋コンクリート造:約8ヶ月〜12ヶ月以上
一般的に、工期が短いのは木造です。鉄骨やコンクリートに比べて素材が軽く、基礎工事にかかる手間を抑えることができます。鉄筋コンクリート造は、配筋、型枠設置、コンクリート打設、養生、型枠撤去など複雑な作業の繰り返しです。しかもコンクリートを打設すると、固まるまで次の工程に進めません。このため階数が多いほど時間がかかってしまいます。
維持費がかかるのはどの構造?
維持費についても、建物の使われ方や立地、メンテナンスの頻度などによって異なるため一概には言えません。しかし一般的には、木造が安く、鉄筋コンクリート造が高いと言われています。
木造の維持費で考えたいのが、防腐・防蟻対策でしょう。5〜10年スパンで定期的に行わないと、シロアリや湿気などで構造体に甚大な影響が出るかもしれません。紫外線や風雨で劣化した場合は、外壁や屋根なども再塗装・補修が必要です。
一方で、木造は断熱性や調湿性に優れているので、設計が適切であれば光熱費を抑えることが可能です。鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べて固定資産税・都市計画税があまりかからない点も魅力です。
これに対して鉄筋コンクリート造は、光熱費や固定資産税・都市計画税は高め。ただし構造材の中でも特に耐久性が高いため、建物自体のメンテナンス費用はあまりかかりません。
施設の用途と目的に合った構造選びを
木造施設は、初期費用や工期の短さ、固定資産税の軽減といったメリットがありますが、一方で、定期的なメンテナンスは欠かせません。 鉄骨造や鉄筋コンクリート造は、費用面では木造に比べて高額ですが、耐久性や耐震性に優れており、長期的な運営を前提とする場合に選ばれやすい構造です。
「安さ」だけでなく様々な要素を比較検討することが、最終的にコストを抑えるポイントです。
その本当の価値
コストは、施設づくりを考えるうえで避けて通れないテーマです。木造は「高い」というイメージが先行しがちですが、実際には構造別にかかる費用や維持コスト、工期、運用効率などを総合的に見ることで、木造の合理性が見えてくる場面も少なくありません。
当メディアでは、構造別の費用比較だけでなく、経営視点で考えるべきコストの考え方や、木造を選ぶことで得られる価値も含め、できるだけ実情に近い情報をお伝えしています。
建てたあとに「思っていたよりも使いづらい」「維持費がかかる」とならないために。空間づくりの本質に目を向けるきっかけとして、本記事がお役に立てば幸いです。
(株式会社アールシーコア)

BESSは、長年培ってきた“ほかにはない”技術とデザインで、木のクセや個性をそのまま活かし、暮らしを“遊ぶ”ための圧倒的な個性ある空間を創出します。ログハウスなどの木造建築に加え、アプローチやデッキといったランドスケープまで一体で設計し、建物単体にとどまらない世界観を実現しています。
当メディアは、Zenken株式会社が、「木のある暮らし」を提案し続けてきた株式会社アールシーコア(BESS)協力のもと制作しています。空間設計から始まる価値づくりを、木の建築という選択肢から紐解いていきます。