仲介会社が「紹介したくなる」物件とは?
選ばれる木造アパートのプロモーション戦略
広告を出しているのに問い合わせが伸びない。そんなとき、原因は物件そのものではなく、仲介会社の営業担当が顧客に見せる「提案リスト」に入っていないことにあります。入居者募集の実務を動かすのは、地域の不動産仲介会社です。本記事では、広告料に頼らずに紹介される状態をどうつくるか、木造アパートのブランディングと集客の具体策を整理します。
勝負は「提案リストの3枠」で決まる
AlbaLinkが2022年6月に実施した調査(賃貸物件に住む412人が対象)によると、部屋を決める前の内見件数は平均3.0件。最も多かったのは3件で、全体の35.4%を占めました。
営業の現場でも、同時に提案する物件は3件が上限とされています。背景にあるのが決定回避の法則(ジャムの法則)です。6種類のジャムを陳列したときの購買率は、24種類を陳列したときの約10倍になったという実験結果があり、選択肢を増やすほど人は選べなくなることが知られています。
つまりオーナーが争っているのは、エリアの全物件ではありません。営業が机上に並べる3枠です。AD(広告料)はその枠を費用で確保する手段ですが、周辺も同じことをすれば横並びになります。チャネルごとの予算配分については木造アパート経営を成功に導く「集客」戦略で解説しているので、本記事では費用以外の方法を扱います。
木造アパートがリストから外れるのは「営業が答えられない」から
内見客が木造の物件に対して口にする不安は、ほぼ決まっています。音は漏れないか、冬は寒くないか、地震は大丈夫か。この3つです。
仲介営業は膨大な数の物件を抱えており、一物件のために構造や性能を調べる余裕はありません。その場で答えられなければ話は止まり、答えられる別の物件に差し替えられます。提案リストから外れる理由は、物件の優劣ではなく説明のしやすさなのです。
だとすれば、オーナーがやるべきことは性能を上げることだけではありません。上げた性能を、営業が使える形にして「渡す」ことまで含まれます。
仲介会社に渡す「営業支援キット」4点
物件を預ける際、鍵と募集条件だけを渡していないでしょうか。次の4点を揃えておくと、営業が顧客に説明する材料がそのまま手に入ります。
| 渡すもの | 中身 | 営業がどう使うか |
|---|---|---|
| コンセプトシート | 誰の、どんな暮らしのための物件かを一文で | 顧客に物件を一言で説明する |
| 木造のQ&A | 界壁の遮音仕様、断熱等級、耐震等級を数字で | 内見客の不安にその場で答える |
| 写真一式 | 暮らしが想像できるカット、季節・時間帯別 | ポータル掲載とマイソクに使う |
| マイソク原案 | 左上に訴求、鮮明な写真、ターゲットを明記 | そのまま配布、レインズに登録 |
特にマイソクは効きます。人の視線は左上からZ字に流れるため、家賃と訴求点を左上に大きく置くのが実務のセオリーです。わかりやすいマイソクは他の不動産会社にも紹介してもらいやすくなり、問い合わせの増加につながります。コンセプトの立て方そのものは「コンセプト設計」の極意で詳しく解説しています。
ブランディングとは「営業が一言で言える」状態をつくること
ブランディングというと、ロゴや雰囲気づくりの話に聞こえるかもしれません。賃貸経営における実態はもっと機能的で、物件名、サイン、ポータルの紹介文、現地の見え方までを一つの言葉で揃える作業です。
木造アパートがこの点で有利なのは、外観そのものが説明を必要としないからです。木の質感は写真でも現地でも伝わり、掲載写真と実物の印象が一致します。内見で「思っていたのと違う」が起きにくいことは、そのまま申込率に効いてきます。
ブランドが立つと、入居者自身の口コミやSNS投稿が二次的な集客になります。逆に名前だけ凝っていて中身が伴わない物件は、営業も入居者も説明に困ります。言葉と実物を一致させることが前提です。
紹介されているかを測る3つの数字
打ち手が効いているかは、感覚ではなく数字で確認します。管理会社や仲介会社への定期訪問で、次の3点を聞き取ってください。
| 指標 | 落ちているときの原因 | 打つ手 |
|---|---|---|
| 反響数 | ポータルで目に止まっていない | 写真と紹介文、マイソクを差し替える |
| 案内数 | 提案の3枠に入っていない | 営業支援キットを渡し、訪問して説明する |
| 申込数 | 現地または募集条件で落ちている | 共用部の見え方と条件を見直す |
どの段階で落ちているかで、打つ手はまったく変わります。反響が少ないのに現地を手直ししても、数字は動きません。
まとめ
紹介される物件とは、優れた物件ではなく説明しやすい物件です。木造の価値を、言葉と数字と写真にして仲介会社に渡すところまでがオーナーの仕事だと考えてください。3枠に入れば、集客は動き始めます。
(株式会社アールシーコア)

BESSは、長年培ってきた“ほかにはない”技術とデザインで、木のクセや個性をそのまま活かし、暮らしを“遊ぶ”ための圧倒的な個性ある空間を創出します。ログハウスなどの木造建築に加え、アプローチやデッキといったランドスケープまで一体で設計し、建物単体にとどまらない世界観を実現しています。
当メディアは、Zenken株式会社が、「木のある暮らし」を提案し続けてきた株式会社アールシーコア(BESS)協力のもと制作しています。空間設計から始まる価値づくりを、木の建築という選択肢から紐解いていきます。
